こんにちは。メカニックの渡辺です!
今回は、MERIDA SCULTURA 4000 (メリダ スクルトゥーラ)のフルオーバーホールレポートをお届けいたします。
バイクの調子が悪くなってしまったと、お電話をいただきました。
お話を伺うと、ヘッド周りから時折きしむ様な異音が発生しているようです。
そこで今回ご依頼いただいたのは、メンテナンスのコンプリートコースです。
バイクをフレームの状態までばらし、消耗品を一新して組み戻していきます。
MERIDA SCULTURA 4000 フルオーバーホールレポート
第1話 バイクの分解・異音調査、パーツのクリーニング・組み戻し ←今回はここ
第2話 シフト・ハンドル周り、ブレーキ、ホイール周り~フルオーバーホール完了まで
分解しながら異音の原因も調査
それでは早速分解作業に取り掛かります。
まず目についたのはクランクボルトのネジの潰れです。
さらにクランクのシャフト長に対してスペーサーが少なかったため、クランクが左右にガタガタと2~3mmスライドしてしまう状態でした。
そのため、金属製で痩せが発生づらいSugino社製の24mmスペーサーを追加します。
↓下の写真は、フロントフォークのリブです。けっこうな量の砂がたまり汚れていました。
汚れ方や砂の種類でどのような環境でお乗りになられているか分かりますね。
お客様が気にされていた異音が、ヘッドセットのカップから出ていることもあるため、圧入されているカップを外しました。
↓下の写真の黄色い印の部分はグリスが塗られておらず、こういうところで摩擦が発生し、きしむ音が出ることがあります。
クリーニングした後、異音対策として使われることの多いワコーズのブレーキプロテクターを塗り残しがないように、縁までしっかりと塗布します。
ヘッド圧入工具でカップが傾かないように慎重に圧入していきます。
↓下の写真は圧入完了の寸前です。いったん確認のため作業をストップし撮影しています。
ヘッドのカップの装着が完了しました。
↓下の写真のようにグリスが均等にはみ出るくらいになっていれば、うまく塗布できている証拠です。
はみ出た余分なグリスをしっかりふき取り隙間がないか確認します。
細部のパーツクリーニングとグリスアップ
ヘッドシールドベアリングは防水シールを傷つけないように外し、古いグリスや砂をワコーズのチェーンクリーナーとパーツクリーナーで納得がいくまで洗浄します。
エアガンも使用して細かい異物を吹き飛ばしてクリーニングします。
小さな砂の一粒でも残っていると、感触としてわかってしまうためベアリングを回転させながら何度も洗浄、確認を行います。
続いてゴムシールの汚れも取り除きます。
ゴムシールに溶剤は禁物ですので、汚れをかきとる能力が高いワイプオールというウエスで優しく丁寧にクリーニングします。
↓下の写真は、洗浄したシールドベアリングの内部にセラミックグリスを充填しています。
ヘッドは高速回転する箇所ではないので、↓下の写真のようにグリスはできる限り満タンに充填し、水や砂が入る隙間を作らないようにします。
↓下の写真はセラミックグリスをしっかりと充填したベアリングにラバーシールをはめ戻し、防水防錆の役割を果たすシマノプレミアムグリスを塗布し、カップに収めたところです。
ロアーベアリングにも、プレミアムグリスを適切な量で塗布しました。
パーツの組み戻し
取り外したパーツは全て洗浄し、乾燥させてから組み戻していきます。
↓下の写真のパーツは、シマノ105リアディレーラーのアジャスター部分です。
こちらもクリーニングした後、組付けます。
組付け前に潤滑と防錆に効果的なワコーズのラスペネを吹きかけ、細部にまで浸透させておきます。
しばらく放置した後、ウエスで余分な油分を拭き取ります。
チェーンリングボルトには、ねじの緩み止めに効果のあるロックタイト(中強度タイプ)を塗布します。
シマノ105リアディレーラーは、ブッシュベアリングですので、内部も洗浄しセラミックグリスを塗布し組み上げていきます。
セラミックグリスは、ちょう度(粘性)が低く軽い回転が特徴で高速回転する部分によく使用しています。
最初に目についたつぶれたボルトです。新品を手配したので交換します。
次回は、ワイヤー、ホイール、ブレーキフルードを交換し完成となります。お楽しみに!
【第2話 シフト・ハンドル周り、ブレーキ、ホイール周り~フルオーバーホール完了まではこちら】
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