Madone SLR Gen8 組立レポート

2025.02.21
メンテナンス関連

こんにちは!メカニックの渡辺です。

今回は新型Madone SLR Gen8の組立レポートをお届けします。

 

世界に1台だけのフルオーダーシステムTREK PROJECT ONEで、ご注文いただき

ご注文から約1か月半で入荷してきました。

 

 

通常の箱より幅が広く開封はしやすくなっています。大切なバイクを守るため、養生されていますがカーボンニュートラルの取り組みで紙の割合が多くなっています。

 

 

ガラスコーティングを行うため、パーツをバラしながら塗装の状態を確認して行きます。

 

 

梱包材などによるスクラッチ傷もなく状態が良いため、下地処理のポリッシュは超極細コンパウンドで必要最低限にとどめました。

 

 

プレミアムコーティングをご依頼いただきましたので、ガラスの鎧に続き、カガミの甲冑 ガラスの盾で仕上げていきます。

まずはガラスの鎧を施工し一晩乾燥させます。ガラスの鎧は耐久性と硬質性が高い特徴のコーティング剤になります。

 

 

翌日、カガミの甲冑を施工していきます。カガミの甲冑は霧吹きで水を吹きかけてから塗布していきます。

下の写真はガラスの鎧を施工した面に水を吹きかけた状態です、ガラスの鎧の効果で撥水しているのがわかりますでしょうか

硬化が始まった部分を擦ると白ボケすることがあるため塗布から乾拭きまでは10分以内に終わらせます。

施工後は約12時間は乾燥させますが8月ということもあり湿度が高いため長めに24時間乾燥させることにします。

 

 

バイクの顔となるクランクセットはご注文いただきましたシマノ最高峰のデュラエースパワーメーター付きに変更します。

漆黒の剣のようなクランク形状がとてもかっこいいですね。

 

 

ボトムブラケットは水対策で、隙間が出来ないようしっかりとグリスを塗布しますが、はみでると汚れを抱き込んでしまうので、はみ出たグリスは拭き取ります。

 

 

今回のMadone Gen8シリーズはフロントディレーラーの取り付け部分がアルミのしっかりとしたものに変更されています。それによりフロントディレーラー取付剛性が高くなったように感じます。

メカニックにもオーナー様にもうれしいアップデートです。マニュアル通り適切な緩み止めを塗布し締め付けトルク3Nm弱で取り付けます。

 

 

ちなみにフロントのディレーラーハンガーの重量はボルト2本込みで8gでした。ここも8に合せてきたのでしょうか。

 

 

この黒い部品は、SRAMのユニバーサルディレーラーハンガーというパーツで変速機とフレームをつなぐパーツです。

2019年よりマウンテンバイクに多く採用されてきました、しっかりとした作りで

 

 

 

 

 

 

フレームのブレーキキャリパーを取り付ける台座部分のふちに塗装の立ち上がり、やすりで塗装のみの面取りを軽く行いました。

それでもアライメントに問題がある場合は専用工具でカーボンを削るフェイシングを行います。

 

 

 

リアは問題がなかったのですが、フロントブレーキ台座はフェイシングを行った方がよさそうでしたので、フェイシングを行いました。

 

 

続いてブレーキキャリパーの取り付けです。

フロントのブレーキキャリパーのピストンの戻りが悪く、パッドクリアランスがほとんどない状態でした。何度も調整を試みましたが納得のいく状態に持っていくことができず、

シマノへ相談し新しいものに変更してもらいました。交換品はピルトンの戻りもよく、最高の状態になりました、自信をもってお客様にお渡しが出来そうです。

 

機械製品は精度の高い高級なパーツでもばらつきがあります。

私、渡辺は少しでもおかしいな。気になるな。ということがある場合は、メーカーに問い合わせをおこない交換など何らかの対策を講じてベストな状態でお客様にお渡ししています。

メーカー側からしたら面倒なメカニックかと思われているかもしれませんが、このスタンスを貫いています。

 

 

パワーメーターの取り付けです。

貼り付け部分をしっかりと脱脂してパワーメーターの回転を計測するマグネットを貼り付けます。

 

 

クランクシャフトに腐食防止のグリスを薄く塗りボトムブラケットに装着します。

 

 

チェーンを適切な長さで繋いだらリアディレーラーの調整を行います。

最大ローギア30Tのスプロケットに合わせ、Bテンションボルトの調整を行いました。

このようなゲージを使用します。

ピッタリと合わせることにより、シフトのレスポンスをシマノの狙った最速レスポンスに設定できます。

 

 

フロントディレーラー

 

 

チェーン脱落防止のチェーンキャッチャーの調整です。

 

 

ボトルケージ取付ボルトには、汗やドリンクによる固着を防止するグリスを塗布します。

 

 

取り付けることにより、空力の良くなるボトルを装着するボトルケージです。

当店のステッカーもお貼りしました。

 

 

注文前にバイクフィッティングを受けていただきましたので、完成後に実車にて仕上げのフィッテングを行いました。

 

 

10年前当店にてTREK Domaneをご購入いただいたお客様で、このMadoneはトライアスロンで使用するバイクとしてご購入いただきました。

ご注文からお時間をいただきましたが、無事お引渡しすることができました。

スタッフ一同、精一杯サポートさせていただきますので今後ともよろしくお願い致します。